ユーロ円が大きく下落した、07年8月17日、08年1月22日、08年3月20日の時期、それぞれ1週間から10日ほど送れてMACDでは買いシグナルが現れます。(EMA1=12日、EMA2=26日、シグナル=9日)
ここで、ユーロ円の買いでFXに参入できないでしょうか?
下図は、75日SMAを入れた為替チャートとMACDとシグナルの動きを示します。
前頁でも触れましたが、為替チャートを見てのとおり、仕掛ける位置が安値を記録したレートから大きく上昇した場面となっています。
※上図は、外為どっとコムリアルチャートに加筆したものです。
まずは、8月27日。
前日に買いシグナルが現れたので、この日の始値、159.10円で買いポジションを建てます。そして、シグナルどおりに売買するなら、10月18日に165.75で利益確定。
6.65円のプラス。
しかし、よく見るとポジションを建てた2日後の8月29日、ユーロ円は154.50の安値をつけます。買値から4.6円も下落。この手前で損切りしない人はよほど上昇する自信があるか、無茶なトレードしかしない人かのどちらかです。(笑)
8月17日に150円割れを記録しているのですから、再下落する可能性を否定できず、通常は一回相場から離れるべきところ。損切りして様子見するのが、基本です。相場の動きを見ていれば、数日後に陽線が2本ないし3本続いた時点で買いポジションを建てることはできますが、MACDだけを見ていたのでは、相場から振り落とされることになります。
結果として、MACDのみによるトレードは失敗に終わると結論付けられます。
この間はどう転んでも失敗に終わります。
MACDを活用して、1月29日に157.97円で買い3月4日に157.32で売り。
実際の相場では1月22日に152.09円、2月27日に161.37円ですから、約9円もの大きな動きがあるもののシグナルの発生タイミングが遅いために、0.65円のマイナス。まぁ、スワップが入るので結果として口座は無傷で済みますが・・・・。
ただ、2月7日に154.05円まで下落しており、通常で考えたらその手前で損切りです。下降トレンドの中での買いポジションですから、157.97円で買ったポジションを3月始めまで持った人は、リスク管理が出来ているとは言えません。
つまり、この間もMACDのみでは振り回されることになります。
唯一、この間のトレードは成功に終わるようです。
利幅は4.76円でまずまず。損切りを強いられるような調整局面もなく、また、変則的ながら相場はダブルボトムを形成しているので、多少は安心感もあります。
しいて言えば、75日移動平均線が上向き始めたので、4月30日に売りシグナルが現れても損切りしないという手もあります。
現実には直後に75日移動平均線まで相場は下落しますが、それは結果論であって、場合によってはそこまで下落せずに再上昇することも考えられる場面ですので。
MACDのパラメーターを変え、感度を高めたらどうなるのでしょうか?
これについて、チェックしてみたいと思います。使用するパラメーターは、EMA1=5日、EMA2=20日、シグナル=10日です。これもよく利用されるパラメーターですが、前述の設定に比べ感度が高まる分、ダマシが多くなるデメリットがあります。
※上図は、外為どっとコムリアルチャートに加筆したものです。
上図のように、仕掛ける日は早まりますが、だからといって必ずしも利益が上がるということは無さそうです。
まず、8月末〜10月にかけての期間では、8月24日に買いポジションを建てるも8月29日に3円以上下落し、ロスカットせざるを得ないでしょう。同様に、1月25日に建てた買いポジションも2月7日に4円以上下落するので、こちらもロスカット。
唯一、3月26日に156.46円で建てた買いポジションは成功しそうですが、4月14日に159.01円で手仕舞いする可能性が高いです。なぜなら、MACDで売りシグナルが現れるとともに、75日SMAも転換する兆候が無いためです。いま振り返ると159円付近がサポートラインとなってユーロ円は上昇するのですが、それは結果論。テクニカル的には、当時手仕舞いするのが最善と判断するでしょう。
このように、為替相場の急激な変動の中では、MACDのシグナルが発生してからの売買ではタイミングが遅く、調整局面で損切りを強いられる場面が発生しやすいことがわかります。
損切りをしないでポジションをキープしたらどうか?と思う方もいるかもしれませんが、リスクが大きくおすすめは出来ません。
では、今まで検証したMACDと為替相場での特性についてまとめます。これを理解すれば、FXで儲けるための大きな武器となるはずです。