サブプライムローン問題とともに、日本でも存在が広く知られるようになった政府系ファンド(SWF)。近年の原油価格上昇でオイルマネーが膨らんだ中東の産油国やロシア、外貨準備高の急増した中国やシンガポールなどの政府が主体となって、貯まった外貨準備を運用するファンドを指します。サブプライムローン問題で欧米の金融機関が巨額の損失を発表し、世界の金融市場が混乱する中、2007年11月にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ投資庁が、米シティグループに75億ドルを投資、12月にはシンガポール政府投資公社がスイスのUBS(スイス・ユナイテッド銀行)に110億スイスフランを出資、同じく12月に中国投資有限責任公司がアメリカのモルガン・スタンレーに約50億ドルを出資しました。
世界に30以上ある政府系ファンドの運用総額は、2007年5月末の時点で2.5兆ドルにも達しており、ヘッジファンドの1.4兆ドル(2006年末)を大きく上回っています。(モルガン・スタンレー推計)
これら政府系ファンドは、現在のところドル主体で運用していますが、今後ユーロに主体をシフトしていくようなことがあれば為替相場にも影響があると推測されています。
なお、日本の外貨準備高は中国についで多く、政府系ファンドを設立して財政赤字の解消に貢献させるべきではないか?との議論も国内でされはじめていますが、ハードルが高く、早期実現は難しいとの声が強いです。