MACDのデメリットとメリットをユーロ円で検証

MACDを有効に活用するために

 前頁では、トレンドが明確なときは、75日SMAを頼りにトレードした方が、有利な結果を生むことが、ユーロ円の検証で分かりました。MACDが有効ではないとは言いませんが、教科書的には本来強いはずのトレンド中であっても、ダマシが多すぎるというデメリットがあるのです。
 しかし、このデメリットを克服する方法を見出せば、MACDはFXで有効なテクニカル分析となります。

ユーロ円とMACD

※上図は、外為どっとコムリアルチャートに加筆したものです。

相場の過熱感を見極める

 MACDはオシレーター系とも言われるように、0ラインから離れれば離れるほど相場の過熱感を意味します。ゆえに、思い切って±0.7500または、±1.0000の範囲内でのシグナルを原則として無視するのはどうか?と発想することも出来ます。
 上昇トレンドの中では、0ライン〜+0.7500(または+1.0000)範囲の売りシグナルを無視し、下降トレンドの中では0ライン〜−0.7500(または−1.0000)範囲の買いシグナルを無視するという手法です。つまり、過熱感のある場所でのMACDのサインをより重視するということです。
 ただ、これについても、たとえ上昇または下降トレンドが発生している中であっても、ダマシは避けられないようです。【ダマシ1、ダマシ2】

 しかし、確実にダマシは減少し、無駄な売買は大きく減ります。75日SMAで現状のトレンドを読み取り、MACDで過熱感を読み取るトレードは、お互いの弱点を補い、より効果的なトレードを実現することができるのではないか?と考えることができます。

0ライン付近でのクロスに要注意

 覚えておかなくてはならないMACDの活用法は、トレンドの中にある0ライン付近でのクロスは押し目買い、戻り売りのチャンスであるということです。これは、MACDの性質を理解していれば当たり前のことですが、理解していない人も少なくありません。上昇トレンド中、MACDとシグナルは0ラインよりも上方で推移しますが、調整局面に入れば一時的にデッドクロスが発生し0ライン前後へ下がります。その後、ゴールデンクロスが発生して再上昇した場合、これは押し目買いの局面であることを意味します。この反対が戻り売りのチャンスです。

急激に変動する相場ではシグナルが送れる

 MACDのデメリットとして、ほかに急激な相場の変動には向かないということも挙げられます。
 たとえば、07年8月17日、08年1月22日、08年3月20日、ここはユーロ円が大きく下落したとき(上図の赤丸位置)で、今振り返ると絶好の買い場です。75日移動平均線を利用したのでは、ここで仕掛けることは出来ません。対するMACDは、この頃に買いシグナルが現れます。
 しかし、結果的には3つの場面のうち2つは損切りに追い込まれます。
 理由はシグナルの発生が遅いからです。たとえば、07年8月17日に149.25円という安値を記録しますが、MACDのゴールデンクロスが現れるのは6営業日後で、為替レートは既に159.10円まで戻っています。底値から約10円も上昇しているところ。
 大きく変動する為替相場の中では調整局面を迎えやすく、そこであえなく損切りを迎える可能性も高いのです。これには注意しなくてはいけません。

 また一定のレンジ内で推移する相場の中においても、MACDの活用は注意を要します。パラメーター変更して感度を高めて売買するのもいいですが、経験上、サポートラインとレジスタンスラインが見えたなら、素直にその近辺でトレードに参入した方が、効果的に利益を上げられると思います。

 次に、前述したユーロ円の3つの大きな下落局面に関する考察と、MACDのパラメーターを変えた場合ではどうなるのかを検証してみます。

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